2月3日といえば節分。豆まきをして鬼退治をしたり恵方巻を食べたりと、子供はもちろん大人も楽しめる行事としてすっかりおなじみですよね。
この節分はもともと明治時代初期まで使用していた旧暦(太陰暦)に基づいたものですが、それでは日本以上に生活の一部に色濃く旧暦が残っているお隣の国、韓国でも節分の日は存在するのでしょうか。また恵方巻のような食べ物は韓国にもあるのでしょうか。
そこで今回は現地在住の筆者が、日本ではあまり知られていない韓国の節分にまつわる話をご紹介します。
韓国に節分・恵方巻きはある?現地のおもしろ6つの豆知識!
1. 日本と全く同じ概念の節分は韓国にはない!
日本の節分は2月3日ですよね。節分の由来ですが、もともと節分とは季節の節目である「立春」「立夏」「立秋「立冬」それぞれの前日のことをいい、年に4回あります。旧暦では春から新しい年が始まったため、立春の前日の節分(2月3日頃)は大晦日に相当する大事な日でした。そこで立春の前日の節分が重要視され、節分といえばこの日をさすようになりました。このように旧暦の暦に基づいた季節の行事なんですんね。
それでは日本と同じく旧暦を使用していた韓国にも節分はあるのかというと、実はありません。2月3日は特に何の日でもないんですね。ただ日本と同じようにニュースで「今日は立春です」と言うことはあります。しかし、日本と全く同じ節分ではありませんが節分に似た行事があります。
2. 恵方巻きに似た食べ物は存在する!?
節分がなければもちろん恵方巻きも存在しません。そもそも恵方巻きは大正時代に大阪の商人たちが節分の時期においしく漬けあがったお新香を海苔巻きにし、無病息災と商売繁盛を願ってその年の恵方を向いて食べだのがそもそもの始まりなんです。そして関西地方で親しまれる風習となり、全国へと広がっていったという経緯があります。もともと昔からある風習ではないので、韓国などの近い国にも伝わりにくかったかもしれません。
しかし韓国にも恵方巻きとそっくりの食べ物があります。それはキムパブ(김밥)という韓国の海苔巻きです。コンビニでも2,000ウォン前後で手軽に購入でき、種類も豊富です。卵焼き、たくあん、ハム、カニカマ、ほうれん草のナムルなどが入ったオリジナルのものからプルコギやツナ、チーズが入ったものなど様々あります。韓国在住の方や節分の時期に韓国にいらした方はこのキムパブで恵方巻き気分を味わってみるのもいいかもしれません。
3. 韓国には節分と似た「정월대보름(チョンウォルテボルム)」が存在する!
日本と全く同じ節分の日は韓国にはありませんが、それに似た日が存在します。「정월대보름(チョンウォルテボルム)」と言われるその日は旧暦の1月15日で、名節のうちの一つ。「대보름(デボルム)」や「상원(サンウォン/上元)」とも呼ばれ、旧正月と同じぐらい重要と考えられています。
「대보름(デボルム)」は一番大きな満月(보름달/ボルムタル)という意味です。昔月の動きに基づく太陰暦を使用していた韓国では月の満ち欠けが重要視され、中でも満月の日である15日は特に大切な日でした。
チョンウォルテボルムは一年で一番初めの満月の日であり、昔は旧正月からこの日までの2週間の間農作業を休み、この日を境にまた農業に精を出していました。「チョンウォルテボルム」が過ぎるとまた1年が本格的に始動するということで、昔の韓国の人々はこの日に無病息災や豊作を願って様々な行事を行ってきました。
4. 韓国の「정월대보름(チョンウォルテボルム)」も鬼退治をする!
日本の節分では「鬼は外、福は内」と家にある様々な邪気を追い払うための豆まきを行いますよね。韓国にもこれと似たような風習があるんです。それは「부럼(プロム)」と呼ばれるものです。落花生、クルミ、松の実、栗などのいわゆるナッツ類の硬い殻を音を出して噛むという風習のことです。
これは1年の無病息災を願うとともに1年間体にできものや腫物ができないように願って行われるもので、噛んだ時の音で鬼退治ができると言われています。噛む回数も決まっており、だいたい自分の年の数だけ噛むんだそう。日本の豆まきとちょっぴり似ていますよね。
5. 「정월대보름(チョンウォルテボルム)」に食べる伝統料理
チョンウォンテボルムの日に昔から食べられてきた料理があります。まずは穀物の豊作を願って食べられる「五穀飯」。普段食べる白米に麦、きび、豆、もち米、小豆などを入れて炊いたご飯のことで、地方によって入れる穀物は変わってきますが五種類なのはどの地方も共通です。
また、韓国語でパンチャン(반찬)と言われるおかずとして「ムグンナムル」と言われる、ゼンマイ、キキョウ、シイタケ、イワタケ、豆モヤシ、かんぴょう、ほうれん草などの9種類の和え物が五穀飯と一緒に食べられます。パンチャンは保存が長い間効くものが多く、このムグンナムルも冬の間の保存用として作られていましが、チョンウォンテボルムを過ぎると保存しておく必要がなくなるため、この日に調理して食べるようになりました。
6. 「정월대보름(チョンウォルテボルム)」に行われる伝統行事や遊び
チョンウォルテボルムの日に行われる伝統行事や遊びもたくさんあります。一番知られている遊びが「쥐불놀이(チゥィブルノリ)」。ひもをつるした空き缶に火を灯し、その空き缶をぐるぐる回しながら田畑を歩くという遊びです。これは単なる遊びではなく、乾いた草に火をつけることによって害虫や虫の卵を焼き払い、冬の寒さで凍った土地に暖かさを与えるという重要な役割もあります。また昨年までの邪気を火によって焼き払って土地を浄化し、福や豊かさを受け入れる新年を積極的に迎え入れるという意味も込められています。
面白いのが「더위팔기(トウィパルギ)」という子供たちの遊び。友だちの名前を叫び、返事が返ってきたら「私の暑さ(熱)を売ります!」と叫んで自分の熱を売るというもの。더위(トウィ)が暑さという意味の韓国語です。昔は夏バテしたら大病につながることがあり大変だったので、このような遊びができたんだそうです。
また「タルチプ(달집/月の家)」という伝統行事も忘れてはいけません。「タルチプ」はわらや松の枝などを高く積み上げ、月が昇る東の方向に門を付けたもの。これに火を付けて燃え上がる炎を月の成長に例え、燃え方によって農作物の収穫具合を占います。均等に燃えれば豊作、炎が途中で消えてしまえば凶作なんだそうです。
まとめ
日本と同じ意味の節分は韓国にはありませんでしたが、「チョンウォルテボルム」という節分に似た行事がありました。旧暦に基づいていること、昔の農耕社会の中で行われきたものということで、韓国の人々がどのように暮らしてきたのか知ることもできる日ではないでしょうか。
この日に食べられる料理はおかず屋さんで手軽に手に入れられますし、伝統の遊びはソウル郊外の龍仁市(용인시/ヨンインシ)にある韓国民俗村に行けば見学することも可能です。ぜひ昔から続く韓国の風習を体験してみてくださいね。
韓国に節分・恵方巻きはある?現地のおもしろ6つの豆知識!
1. 日本と全く同じ概念の節分は韓国にはない!
2. 恵方巻きに似た食べ物は存在する!?
3. 韓国には節分と似た「정월대보름(チョンウォルテボルム)」が存在する!
4. 韓国の「정월대보름(チョンウォルテボルム)」も鬼退治をする!
5. 「정월대보름(チョンウォルテボルム)」に食べる伝統料理
6. 「정월대보름(チョンウォルテボルム)」に行われる伝統行事や遊び