韓国語は日本語と文法が似ており、同じ漢字圏ということもあって学びやすい言語ですよね。しかも尊敬語(높인말 / ノッピンマル)とタメ口(반말 / パンマル)という概念もあり、さらに親近感を感じるのではないでしょうか。
しかし日本のタメ口と韓国のパンマルを同じように考えてしまうと相手を怒らせてしまうことも…。相手に失礼がないように、パンマルを使用できる場面や相手を知っておく必要があります。
そこで今回は、韓国語のパンマルを正しく使うためのコツを、筆者の経験談を交えながらご紹介します。
韓国語でタメ語は注意!パンマルを正しく知るための8つの知識
1. 韓国語のタメ口、パンマル
韓国語には日本語と同じように尊敬語やタメ口があり、そのタメ口の事を韓国語で「パンマル(반말)」と言います。(ちなみに謙譲語はありません)
반(パン)は半分、말(マル)は言葉という単語で半分の言葉、完璧でない言葉、つまり目上目下の序列をわきまえない不完全な言葉遣いという意味です。韓国では同い年の友達や目下の人に対して使われます。요体の요を取ればパンマルになるので、文法面では難しくないでしょう。
例: 먹어요(モゴヨ)→먹어(モゴ)
2. 例文でパンマルを覚えてみよう
ではパンマルを使用する場面をイメージしやすいように例文を見てみましょう。
1.クラスメイトとの会話
A:너 어제 숙제 했어?
(ノ オジェ スッチェ ヘッソ?/おまえ昨日の宿題した?)B:응, 당연히 했지.
(ウン、タヨ二 へッチ/うん、もちろんしたよ)A:그래? 나 안 했는데.
(クレ?ナ アネンヌンデ/そう?俺してないんだけど)
B:그럼 빨리 해.
(クロム パrリ ヘ/じゃあ早くしな)
2. 兄弟間での会話
兄:너 혹시 흰 색 티 있어?
(ノ ホクシ ヒン セク ティ ーイッソ?/お前もしかして白いTシャツ持ってない?)弟:응,있는데 왜?
(ウン、インヌンデ ウェ?/うん、あるけどどうして?)兄:오늘 학교에 입고 가야 하는데 빌리면 안 돼?
(オヌル ハッキョエ イッコ カヤ ハヌンデ ピrリミョン アン デェ?/今日学校に着て行かないとダメなんだけど借りたらダメ?)弟:돼.나의 옷장에 있어.
(デェ.ナエ オッチャンエ イッソ/いいよ。僕のクローゼットにあるよ)
なんとなく感覚は掴めたでしょうか?
3. 日本語のタメ口と同じように使うと失礼な場面がたくさんある!
日本語にもタメ口はあるし、文法も요体の요をつけないだけだし簡単に使えそう!と、思った方が大半でしょう。ところが日本語のタメ口と同じ感覚で使ってしまうと相手に失礼だったり、怒らせてしまうこともありえます。パンマルを正しく使うために、日本語のタメ口とどう違うのか正しく理解しましょう。
まず最初に、韓国は儒教文化が根強く残っています。儒教は中国の孔子を始祖とする思想・哲学のことで宗教ではありません。儒教の根本の教えのひとつに「年長者を敬う」があり、これが韓国文化や韓国語における言葉遣いに大きな影響を与えています。
なお、韓国語の敬語については以下に詳しくまとめましたので、こちらもご覧ください。
4. パンマルを使わない方がいい場面①家族・親戚
日本だと自分の親はもちろん、親戚も親しい人なら年齢関係なくタメ口ですよね。「おばちゃん、元気だった~?」なんて軽く挨拶することはよくあるでしょう。でも韓国ではNGです。
韓国では、どれだけ親しくても年上だったら敬語である높인말(ノッピンマル)を使うのが無難です。「고모, 잘 지냈어요? /コモ、チャル チネッソヨ? / (父方の)おばさん、お元気でしたか?」
と言うと良いでしょう。
また祖父母にも敬語ですし、家庭によっては親にも敬語を使っているのは珍しくありません。ただ兄弟間では基本的にはパンマルを使って話します。
5. パンマルを使わない方がいい場面②親しい年上の友人
最近の日本では親しくなれば年は関係なくタメ口を使うことがほとんどだと思います。ところが韓国ではそうではありません。どれだけ親しくなっても年上は敬うべき存在なので必ず敬語です。
筆者の周りでも年齢バラバラのママ友同士、どれだけ親しくてもやはり年下の方は年上の方に必ず敬語を使っています。例えば
오빠 / オッパ / お兄ちゃん (女性が年上の男性を呼ぶとき)
언니 / オンニ / お姉ちゃん (女性が年上の女性を呼ぶとき)
형 / ヒョン / お兄ちゃん (男性が年上の男性を呼ぶとき)
누나 / ヌナ / お姉ちゃん (男性が年上の女性を呼ぶとき)
となります。年上でしたら実の兄、妹に関係なく「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」なんですね。
ちなみに職場においても韓国では入社日ではなく年齢によって言葉遣いが変わってきます。後輩でも年上でしたら敬語で話さないといけません。
6. パンマルを使わない方がいい場面③学校や習い事の先生
日本では先生に対してタメ口で話すことも多いかと思います。しかし韓国では絶対NG!保育園に通う2,3歳の子から大人まで、「先生」という立場の人に対しては絶対に敬語です。
これは年齢関係なく、先生が自分より若くても敬語を使います。日本のように先生に直接あだ名で呼んで友達のように話す…ということは論外です。
韓国語で先生は선생님(ソンセンニム)。直訳すると「先生様」となり「様」がついています。それほど敬うべき立場の人ということなんですね。
7. パンマルを使う場面ー同い年の友達や年下の人
では一体いつパンマルを話すのかということになりますが、一般的には同い年の友達や年下の人に対して使います。学校の同級生や後輩なんかがこれにあたりますね。
また、兄弟に弟や妹がいたり、親戚に自分より年下のいとこなどがいた場合もパンマルを使います。なお、夫婦間でも年齢関係なく基本的にパンマルで会話する家庭が多いです。
このように日本語のタメ口と比べて使用場面がかなり限られてきます。
8. とにかくまず最初に相手の年齢確認を!
このように年齢によって言葉遣いを変えないといけないため、相手の年齢を知ることはとても大事です。
日本ではいきなり年齢を聞くのは失礼にあたりますが、韓国では年齢確認は必須事項です。年齢確認して自分より年上だと分かったら「오빠」「언니」「형」「누나」と呼び敬語に、同い年だと分かったら「친구(チング、友達)」になり、年下だったら相手は自分の「동생(トンセン、弟や妹)」でパンマル使用OKです。
これは3,4歳の小さな子供たちまで根付いている習慣で、筆者の幼稚園児の長男も例外に漏れず知らない子と遊ぶときはすぐ年齢確認をしています…。同い年でないと友達になれないなんてちょっと衝撃的ですよね。
まとめ
いかがでしたか?
日本のタメ口と同じと思いきや、同じ年と年下にしか基本的にパンマルは使えないとは、韓国においてどれだけ年齢が大事かお分かりになられたかと思います。しかし家庭や人によってフランクな人は年齢関係なくパンマルでいいと言ってくれる人もいるので、そこは臨機応変に対応しましょう。
筆者もこの文化に慣れず我が家の子供に特に教えずにいたら、幼稚園で年上のクラスの子たちに失礼な場面が出てきたみたいで、先生に何回か指摘されたことがありました。皆さんも年齢による言葉遣いの使い分け、そして相手への呼称には注意してくださいね。
なお、韓国の保育園事情については以下の記事で特集していますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
韓国語でタメ語は注意!パンマルを正しく知るための8つの知識
1. 韓国語のタメ口、パンマル
2. 例文でパンマルを覚えてみよう
3. 日本語のタメ口と同じように使うと失礼な場面がたくさんある!
4. パンマルを使わない方がいい場面①家族・親戚
5. パンマルを使わない方がいい場面②親しい年上の友人
6. パンマルを使わない方がいい場面③学校や習い事の先生
7. パンマルを使う場面ー同い年の友達や年下の人
8. とにかくまず最初に相手の年齢確認を!