韓国人にとって兵役とは?在住者に聞く徴兵制度の実態

韓国人にとって兵役とは?在住者に聞く徴兵制度の実態韓国文化

韓国男性には必ず訪れる兵役。K-POPアイドルや人気俳優の入隊で、日本でも度々話題になりますよね。徴兵制度は日本にはないので、実際にどのような制度で、入隊後はどのような生活をしているのか、興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。

筆者は主人が職業軍人ということもあり、部隊の中を見学させていただく機会がありました。今回は実際に聞いたり見てきた内容も含めて、徴兵制度についてご説明します!

 

韓国人にとって兵役とは?在住者に聞く徴兵制度の実態

 

1. そもそもなぜ徴兵されるの?

韓国人にとって兵役とは?在住者に聞く徴兵制度の実態1

朝鮮戦争が休戦してから65年以上が経ちますが、未だに終戦には至っていないのが現状です。韓国では今も北朝鮮を敵とみなし、いつまた再開するかわからない戦争の備えを行っています。

朝鮮戦争が起こった当時、男性国民が兵士として徴兵されていましたが、未だに終戦していないので徴兵制を採用したままとなっています。

 

2. 兵役期間はどれくらい?

停戦から65年以上の間に、韓国と北朝鮮の関係も緩和しており、年々徴兵期間が短くなってきています。政府は2020年6月までに徴兵期間を18ヶ月まで短縮させることを発表しています。また、陸軍、海軍、空軍、どこに所属するかにより、徴兵期間は異なります。

なお、実際に軍隊での兵役が終わった後も、8年間は予備兵として有事の際に召集される可能性があるため、年に数回の訓練があります。その後、40歳までは民防衛となり、有事の際に民間人避難のための指導役として、年に1回の訓練があります。そのため、40歳までは国民の義務として兵役期間と数えられます。

 

3. 徴兵された後、どうなるの?


徴兵されるとまず訓練所に送られ、1か月間軍人になるための教育を受けることになります。訓練所では基本的な銃の取り扱いや軍の理念について、徹底的に教育されます。この期間は自由がほとんどないため、精神的にも肉体的にも一番きついと言われています。

教育が終わると所属する部隊へ派遣されていきます。個人的に特技がある人は、配属先を志願することも可能です。その後、問題がない限りは退役まで同じ部隊で勤務し、大体の方が兵長として兵役を終えます。

 

 

4. 兵役中の宿舎はどうなっているの?

兵役中の宿舎は部隊の中にあり、共同生活を行います。イメージとしては、病院の大部屋のイメージ。1部屋6人~8人程度の人数で、個人用のクローゼットとベッドがあります。パーソナルスペースはベッドの上だけで、シャワーやトイレ、洗濯室はなど、他は全て共同となります

また、PXと呼ばれる軍関係者専用の免税マートや、運動ができるようジムスペース、食堂があります。インターネット可能のパソコンスペースや、ゲーム機が置いてあるところもあります。また、建物にもよりますが、カラオケを備えている宿舎も!娯楽を楽しめるスペースがあるのが、意外ですよね!

 

5. 兵役中の生活は?

兵役中の生活はとても厳しく、事務作業や体を使った労働の他に訓練などもあります。平日は基本的には決まった時間に起床。朝の点呼や運動、食事を済ませた後、勤務に向かいます。退勤後、食事やシャワーなどを済ませ、就寝となります。

一見自由があまりないように見えますが、最近では兵士のストレスを発散できるよう、ある程度自由にできるものが増え、軍主導で催しものも開催しています。まず自由という点では、事前に申請すれば退勤後21時までは外出ができるようになり、退勤後はスマホも使用することができるため、家族や友人と連絡を取ったりと、プライベートな時間を過ごせるようになりました。軍が開催している催しも多く、運動会や部隊のお祭り、映画鑑賞があります。

また、部隊近くの地域のお祭りや催しがある場合は、そこまで幹部が引率して参加することもできます。

 

6. 軍人だけのNG行動!

韓国旅行に行くと、街中で戦闘服姿の軍人さんをよく見かけますよね。実は徴兵されて訓練所に入ると、訓練所まで着てきた服は宅配で自宅に送り返されます。そのため、外出時は皆さん戦闘服を着ているんです。実は戦闘服を着ている時には、厳しいルールが存在します。

まず、歩きスマホや食べ歩きなど、歩きながら何かをすることはNG。戦闘帽は外を歩いている時は、必ず被らないといけません(室内では脱帽可)。また外出時はお酒も飲みたくなるでしょうけど、戦闘服姿での飲酒はNG。ポケットに手を入れて歩くこともNGなので、冬は手袋が必須です。

また、彼女に会うと手を繋いだりしたいでしょうけど、本来であれば彼女と手を繋いで歩くことはあまりよろしくないとのこと。徴兵中の彼がいる方は戦闘服姿の時には、こういった理由もあるので理解してあげてくださいね!

 

7. 兵役免除となる場合

徴兵と言えど、事前に兵役検査を受け、心身に異常があると判断された場合や、書類審査で免除となる方もいます。免除の中で代表的なのは、北朝鮮からの亡命者や身体に障害がある人。その他にも、兵役中は給与というものは発生しないので(手当程度の金額は支給されます)兵役象者の収入でなければ家族の生計を維持できないなどの理由でも、免除となる場合があります。

また、他国の永住権を持っている場合も、兵役免除となるため、最近は親が若いうちから他国に留学させ、永住権を取得させて兵役を免除させるということも増えており、問題視されています。

また、兵役免除は就職にも影響し、会社側も納得できる理由でないければ、社会的義務を果たしていないということで、不採用になる場合が多いのだそう。「どこの部隊にいた?」という会話が普通に行われる韓国では、兵役逃れをした場合は周りの目線も相当冷たいそうです。

 

8. 兵役拒否したらどうなるの?

韓国では19歳から29歳までの男性に兵役義務があります。年齢制限ぎりぎりで長期で海外に行く場合など、出国時に兵役が終わっているという証明書の提出を求められることがあります。

もし、兵役を終えず出国し29歳を超えた場合や、兵役を拒否した場合は、逮捕され刑務所に入ることになります。刑期はおよそ1年間。ただし、前科が付くのでその後の就職などには不利になります。また、徴兵後に逃亡した場合も、憲兵に逮捕され処罰を受けることになります。

なお、韓国の就職事情については、以下の記事で詳しく解説していますので合わせてチェックしてみてください。

韓国で就職活動!日本と違う7つの就活ルール!
韓国語学習者が増加傾向にある昨今、韓国での就職を希望している方も沢山いることでしょう。そこで今回は、韓国で就職活動する前にぜひ読んでもらいたい、韓国の就活事情について現地在住の筆者が詳しくご紹介します。日本と何が違い、何を準備しなくてはいけないのかなど、事前にしっかり理解しておきましょう!

 

 

まとめ

いかがでしたか?
韓国はおじいちゃん世代まで、ほとんどの男性が軍隊へ行った経験があるため、今でも銃の扱いは覚えている方が多いそう。

筆者は街を歩いていて、あの人もこの人も元軍人なのか!と度々不思議な感覚に陥ることがあります。国民の義務として当たり前のこととして受け止められていますが、未だ休戦状態ということを考えさせられる徴兵制度。

早く北朝鮮との緊張状態が解けて、終戦へ向かうことを願わずにはいられないですね。

 

韓国人にとって兵役とは?在住者に聞く徴兵制度の実態

1. そもそもなぜ徴兵されるの?

2. 兵役期間はどれくらい?

3. 徴兵された後、どうなるの?

4. 兵役中の宿舎はどうなっているの?

5. 兵役中の生活は?

6. 軍人だけのNG行動!

7. 兵役免除となる場合

8. 兵役拒否したらどうなるの?

 

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