韓国語の敬語は日本語と同じようにルールがあり、正しく使うには少しコツが必要です。筆者は韓国語を勉強し始めて10年以上経ちますが、尊敬語を使い方にはいつも気をつけて話します。そこで今回は、尊敬語の文法ルールについてご紹介します。
韓国語の敬語!場面に合わせて使い分ける8つの文法ルール!
1. 3種類の敬語
韓国語には日本語と同じく3種類の敬語があります。
(1)尊敬語:
目上の人を敬うものです。「가시다(行かれる)」「계시다(いらっしゃる)」のような言葉です。
(2)謙譲語:
自分をへりくだって話します。「드리다(差し上げる)」「모시다(お連れする)」のような言い方があり、種類は多くありません。
(3)丁寧語:
語尾を丁寧にいう言い方で、「~요(~です)」「~ㅂ니다(~です)」のようなものです。丁寧な言い方ではない、日本語で言う「タメ語」のことを韓国語では「반말(パンマル)」と言います。今回はこの3種類の中でも特に(1)尊敬語の文法ルールを中心にお伝えします。
2. パターン1: 動詞+시(으시)
基本の動詞を尊敬語にするには2種類のパターンがあります。まず1つ目が「動詞+시(으시)」の形にすることです。「가다(行く)→ 가시다(行かれる)」「쓰다(書く)→쓰시다(書かれる)」という形にします。これが一番多いパターンです。
3. パターン2: 動詞の置き換え
2つ目のパターンは動詞そのものが「尊敬の意味をもつ動詞」に置き換わります。「먹다(食べる)→잡스시다, 드시다(食べられる)」「자다(寝る)→주무시다(お休みになる)」全く形がかわりましたね。また、パターン2に該当する単語は「시(으시)」の形では使えないです。
4. 名詞を尊敬語形にする
名詞は動詞に比べると尊敬語形がイメージしにくいかもしれません。しかし、普段の生活の中で使っていたり、目にしています。例えば、「ご家族」や「お住まい」「林様」などです。また、ビジネスの場では「御社」「貴社」などの言葉をよく使いますよね。韓国語の名詞の尊敬語をいくつかご紹介していきます。
⑴相手、第三者に対して尊敬の意を込めた呼び方
・~씨(~さん)→~님(~様)
・여러 사람→여러분(みなさま)
また、職位、地位に「님」をつけるパターンもあります。
・선생님(先生様)
・부장님(部長様)
・고객님(お客様)
(2)単語自体に尊敬の意味があるもの
・이름→성함(お名前)
・말→말씀(お言葉)
・술→약주(お酒)
5. 助詞を尊敬語形にする?
助詞を尊敬の形にする、というのは日本語でなないですよね。日本語にないこのルールは日本人には馴染みがなく難しいです。4つの形があるので全てご紹介します。
・〇〇 가(이)→께서(~が)
・〇〇는(은)→께서는(~は)
・〇〇에게/한테→께(~に)
・〇〇도→께서도/께도(~も)
6. 家族内での尊敬語
日本の場合、家族内で敬語を使うかどうかは各家庭によって異なると思うので、一概には言えませんが、大部分の家庭では敬語は使わないと思います。
例えば日本で、小学生の子供がお父さんにむかって「お父さんこれ召し上がりますか?」と話す姿を見かけたら、ここの家庭は厳しく教育されているのかな?なんて思ってしまいますよね。
しかし、儒教の思想が強い韓国では、たとえ親であっても年上に対しては敬語を使うとされています。韓国で小学生の子供が「아빠 이거 드셔요?(お父さんこれ召し上がりますか?)」と言っていても全く違和感がありません。小さい時から「年上に対しては敬語を使う」という教育がされているからです。
また、結婚した頃、筆者の韓国人旦那がお義母さんと電話で話していたときに違和感を感じた言葉がありました。それが「아빠 계셔?」です。直訳すると「お父さんいらっしゃる?」になります。旦那の家族はもともと「~です、~ます」は使わずパンマルで気楽に話をするのですが、それでも尊敬語の「계시다(いらっしゃる)」は使っていて、日本人の筆者にはやっぱり違和感がありました。
7. 会社内での尊敬語
会社内での敬語の使い方については日本と似ている部分も多いと思います。基本的に年上だったり役職が上の人に対しては尊敬語を使い、丁寧語で話をしますよね。仲が良くなればため口で話すこともあったりなかったり…だと思います。しかし、日本語と韓国語の敬語で大きく違う点があります。
日本は、社内の人間を「身内」と認識します。そのため社内の人間のことを社外の人間に対して話すときは敬語を使いません(相対敬語)。例えば上司の佐藤部長についてはなすとき「ただいま佐藤はおりません」となります。
しかし韓国語では社内外関係なく、上司に対しては敬語を使います(絶対敬語)。よって「사토부장님은 안 계셔요.(佐藤部長様はいらっしゃいません)」となります。日本人にとってはこのルールも少し違和感を感じるかもしれませんね。
8. 軍隊内での尊敬語
日本にはない「軍隊」という組織。ここの中では一般の会社とはまた違ったルールで尊敬語が使われています。軍隊の中では「階級」が全てです。実際の年齢や性別、経歴等は全く関係ありません。階級が上の人に対して敬語を使います。一般の社会では「~요(~です)」の形を使って話しますが、軍隊では基本的にはより丁寧な「~ㅂ니다」体を使います。
韓国人男性は大学在学中に2年間一般兵として軍隊に所属するのが一般的ですが、筆者の旦那は大学在学中にROTC(学軍団)に所属していたため、大学卒業後「少尉」という階級で軍隊に所属しました。最初は年上の部下に敬語で話しかけられる状況に戸惑っているようでした。ただ、敬語そ使うのは軍隊内でのルールなので勤務時間外は部下に対してでも「형」と呼んだり、一緒にお酒を飲みに行ったりして仲良くしていたみたいです。
まとめ
いかがでしたか?
韓国語の敬語のルール、日本語と違う部分も多くて難しく感じるかもしれません。最初から完璧な敬語を話そうと思わずに、まずは「~요(~です)」とパンマルを使い分けるところから始めてみてはどうでしょうか。そこから徐々に尊敬語形を覚えていくと、スムーズに行くと思います。
韓国語の敬語!場面に合わせて使い分ける8つの文法ルール!
1. 3種類の敬語
2. パターン1: 動詞+시(으시)
3. パターン2: 動詞を尊敬語形に
4. 名詞を尊敬語形にする
5. 助詞の尊敬語形にする?
6. 家族内での尊敬語
7. 会社内での尊敬語
8. 軍隊内での尊敬語